記憶の中で…
あ…ちょっと待って。この写真…この顔、似てない?
「ナツキ。私の鞄、どこ置いたっけ?」
「確か玄関のとこに…。」
ナツキが言い終わらないうちに部屋を飛び出した。
心臓がドクドクと脈打ってる。まさか…まさか…。
パスケースを握り締めると部屋へ戻った。
私の慌てた様子に少しも動じる事なく、パラパラとアルバムを捲るナツキ。
ナツキのアルバムと、パスケースの夏樹を見比べた。
やっぱり…!!
ナツキの落ち着いた様子が妙に浮いて見える。
「ナツキは…知ってたの?」
「……。」
「知ってたの!?」
もう一度聞くと、写真を見ながら小さく「…ああ。」と答えた。