記憶の中で…
「ユキの幼なじみは誕生日、いつ?」
ナツキの声にハッとした。
「8月5日。」
「じゃあ、違うな。双子じゃないかって考えてるんだろ?俺は12月だ。」
「……。」
「そのパスケースの写真見た日に母さんに話したんだ。
俺とそっくりな奴がいるって。
幼い頃の俺にそっくりで、クラスメートの幼なじみだって。
そしたら急に様子がおかしくなって、そのまま入院する事になってさ。
医者には精神的な事でショックがあったんじゃないかって。
軽い気持ちで言っただけなのに、何がそんなにショックだったのか分からなくて。
父さんに聞いても何も答えてくれないし、挙げ句、この事は今後一切口にするなと口止めされた。」
「……。」
「日本に来てから、時々変な夢見るんだ。
幼い頃の俺が、父さんと母さんと一緒に遊びに行くんだけど、後から誰かが『なつきくん、だめだよ。』て言うんだ。
振り向くと髪を一つに束ねた小さい女の子で。
いつもそこで終わる。」