記憶の中で…
何も言えなかった。言葉が見つからない。
二人とも黙ったまま、そこにじっとしていた。
ふっと時計を見るともう12時で。
「も、寝よ。今日は体育祭で疲れたろ?隣の部屋、布団敷いてあるから。明日は土曜日だし、ゆっくり寝てていいよ。」
そう言って布団に入ろうとするナツキに言った。
「…ここで寝たい。ナツキの傍にいたいの。何かが起こりそうで…怖い。」
絶句するナツキ。大きな溜め息を吐いた。
「あの…俺、どんだけ信用されてんの?これでも健康な男子高生ですけど。」
「……。」
「襲ってもいいわけ?」
「それは…困る。」
「んじゃ、向こう行け。」
「わかった。わがまま言って…ごめん。」