記憶の中で…
ナツキは私の耳元に顔を埋めて、その体重をゆっくりと私にかけた。
体を密着させて抱き締めると、ぐるんと回転して私とナツキの体が上下逆になった。
「これなら俺にはユキの体見えないだろ?ユキがキスして。」
ナツキの胸の辺りにあった顔をズルズルと移動して真下にナツキの顔が見えた。
ナツキの言う通りにキスをした。軽く、触れるだけの。
「私にはナツキみたいなキスは無理。」
「いいよ。そのうちできるようになるから。」
「ナツキは…その…今まで他の女の子と…キス…した?」
「……。」
クスッと笑うナツキに少しムッとした。
「何が可笑しいの?」
「それってヤキモチだろ?」
「違うもん。」
「じゃあ、何で機嫌悪くなんだよ。」
「なってない!」
「…初めてだよ。」
「え?」
「全部ユキが初めて。ユキは?」
「…私も…だよ。」