記憶の中で…
広い畳の部屋で二人で西瓜を食べていた。
大きな窓は全開で扇風機の首がくるくると回ってる。
外は強い日差しで、木々がざわざわと風に揺れ、風鈴がチリンチリンと音を奏でている。
この部屋にいるのは夏樹と二人きり。大人たちはどこに行ったのか…。
夢中になって食べる西瓜のシャクシャクという音だけが聞こえる。
「あー、お腹一杯。」
「俺も。」
二人でゴロンと寝転んだ。
「ユキ…ユキ?…寝ちゃったの?なんだ、つまんね。俺もユキと同じ夢見よ。」
そう言ってナツキは私の手を握った。