記憶の中で…


「あの…ナツキのお母さんの方は大丈夫なんですか?」

「ああ、妻は精神的な事の方が大きいからね。その心配事が解決しないと良くはならないだろう。」

「そうですか。」

ナツキのお父さんにパスケースの写真を見せてもいいだろうか…。

確かめてみたい。

「聞きたい事があるんですけど。」

「何だい?」

「正直に答えて下さい。この写真の男の子、ご存知ですか?」

思い切って五歳の夏樹を見せた。

「ほう。ナツキによく似ているね。これはいつの写真?」

「10年前のものです。ナツキと似ているというより、これはナツキなんじゃないですか?」

「それはないだろう。10年前はナツキはドイツにいたよ。」

こんなに似てるのに驚かないなんて…。




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