記憶の中で…


「あの…無理みたいです。」

「じゃあ、公衆電話から君の家に電話して来よう。番号は?」

おじさんが部屋から出るとナツキが目を覚ました。

「ん…ユキ?」

「あ、起きた?今ね、ナツキのお父さん来てくれてるよ。電話してる。」

「ふーん。ユキ、ずっと居てくれたんだ。」

「うん。だって離してくれないんだもん。」

「え…あれ?ずっと握ったままだった?」

「うん。」

「ごめん。トイレにも行けなかったよな。」

パッと手を離した。

「いいよ。ずっと傍にいたかったし。」

「ユキ。」

「ん?」

ぐいっと腕を引っ張られて、ナツキの上に倒れ込んだ。

「ナツキ?」




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