記憶の中で…
ナツキの手を取りギュッと握った。
「焦らなくてもいいよ。ゆっくり答え合わせをすればいい。ずっと一緒にいるから。」
「ユキは…桂木祐希…だよな?」
「うん、そうだよ。」
「俺は…誰だ。」
「ナツキだよ。私の大切な人。そんな答えじゃ…駄目?」
ナツキをギュッと抱き締めた。私より背の高い大きなナツキが腕の中で小さく震えた。
次の日はナツキのお父さんと病院へ向かった。
けれどおじさんは病室へ入る事なく、「ナツキの様子を教えてくれればいい。」と私に荷物を預けて帰って行った。
コンコン…
「はい。」
「おはよ、ナツキ。あ…ごめんなさい。」
「はい、終わりですよ。もう入っても大丈夫よ。」
看護師さんが体温や血圧を計って出て行った。
「随分早くに来たんだな。」
「うん。着替えが要るかと思って。」