記憶の中で…
チュッ。
は…?今、何をしたの?
固まって呆然とする私に、さりげなく彼は言った。
「案内してくれてありがと。ただの挨拶替わりだから気にしなくていいよ。」
彼が屋上を後にしてから、その後の事は何も覚えてない。
気が付けば教室にいて、授業終了のチャイムが鳴ったところだった。
ナツキはどうしたのかと後ろを見ると…寝てるし!
寝顔を見ると気持ち良さそうで、何事もなかったかのようにしている彼が、段々腹立たしく思えてきて、思わずノートでバコン!と叩いた。
「いってえ…何だよ。…て、お前かよ。」
「お前じゃないわよ!!さっきはよくも…。ドイツは普通の挨拶かもしんないけど、ここは日本よ!日本人らしい挨拶にしなさいよ。」
「あー、煩いな。ギャンギャン喚くな。その口、塞ぐぞ。」