記憶の中で…


「金曜日の夜、一緒に寝よって言ったのはどこのどいつだ?」

「……。」

昨日の朝、上半身裸にされた事まで思い出した。

「うわ。ユキちゃん、やーらし。何真っ赤になってんのー?」

顔を覗き込んで茶化すナツキに、パンチをお見舞いしようと思ったのに、すんなり捕まっちゃって。

「俺に逆らおうなんて100万年早えんだよ。」

ちゅっ――

「な…な…何すんの!?どっちがやらしいんだか。」

ギャーギャー言い合っているところに看護師さんが来た。

「こら、高校生ボーイ。他の部屋の人に迷惑よ。静かにしてね。」

「すみません。」




「ねえ、退院したら行きたいとこあるの。一緒に来てくれる?」

「ああ、わかった。」

「それからね、ナツキのお父さん心配してたよ。父親じゃないなんて言って、とっても悲しそうだった。」

「俺の…本当の父親じゃない。」

「だとしても10年間、本当のお父さんの代わりにナツキを育ててくれたんでしょう。それまで否定するような事言っちゃ駄目だよ。」

「…わかった。気をつける。」




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