記憶の中で…
退院
ナツキの退院の日が決まり、伸びをしながらナツキが言った。
「あー、やっと退院かあ。たった一週間だったけど長かったなあ。」
「よかったね、一週間で。それともう一つ、いいこと教えてあげる。」
「へー、何?何?」
興味津々の顔…。
「来週からテストだよ。」
いきなり谷底へ落ちたような顔をして項垂れた。
「…マジ?」
「うん。マジ。」
「嘘…。俺、テスト休む。退院してもまだ休養が必要ってことで…。」
バコン!
鞄で叩いた。
「った――。お前なあ、これ以上頭叩いたらバカになんだろが。」
「大丈夫よ。もう二回も打ってるんだから、それ以上バカになんないよ。」
「おい、それ以上言ってみろ。どうなんのか分かってんだろーな。」
しまった!ナツキを怒らせると仕返しがくるんだった。
「ひゃあー、ごめんなさい。もう言いません。」
「ダメー。しっかり聞いたから、後で覚えておくように。」
学校の先生みたいに言うナツキが可笑しかった。