記憶の中で…
週明けから学校に来たナツキは、皆から声をかけられ嬉しそうにしていた。
けれど、授業が始まる前になると後ろの席で、「一ノ瀬じゃないのに…。」とボソッと呟いた。
先生が、「おー、一ノ瀬。退院できてよかったな。」と言うと、更に不機嫌になった。
まだ頭の中はゴチャゴチャで何も整理できてない筈。やっぱり学校は早すぎたんだろうか…。
三日間の試験を終え、入院中に言っていた“行きたい所”へナツキを案内した。
電車に乗ってたった二駅向こう。電車を下りて10分位歩いたところに、目的の場所があった。
「ここは?まさか遊ぶ訳じゃねえだろ?」
「昔、よく一緒に遊んだ公園。」
遊具も変わらず、景観は同じだった。子どもが走り回って、キャーキャーという声が聞こえる。その向こうにあるフェンスの中では、どこかの野球チームが試合をしているように見えた。