記憶の中で…
「私たち、かくれんぼしてたんだよ。ここで鬼は目隠しをして、皆散り散りになった。夏樹が隠れたのはどこだったか分かる?」
ちょうどそこにはあの時と同じように、道路脇に白い軽トラックが止まってた。車の中は誰も乗ってない。
ナツキは何も答えず、ただじっとトラックを眺めていた。
ちょうどそこへ運転手が戻って来た。ナツキはふらふらとそのトラックに近づいた。
「おじさん。」
声をかけたのはナツキだった。
「いつもここに車止めてるんですか?」
「ああ。配達に来ている間だけな。」
「10年前も?」
「かれこれ20年になるかな。何でそんな事聞くんだ?」
「俺たち10年前に行方不明になった子を探してるんです。」
「10年前?そういえば警察から色々聞かれたな。何だ、その子まだ見つかってないのか。」