記憶の中で…


「私たち、かくれんぼしてたんだよ。ここで鬼は目隠しをして、皆散り散りになった。夏樹が隠れたのはどこだったか分かる?」

ちょうどそこにはあの時と同じように、道路脇に白い軽トラックが止まってた。車の中は誰も乗ってない。

ナツキは何も答えず、ただじっとトラックを眺めていた。

ちょうどそこへ運転手が戻って来た。ナツキはふらふらとそのトラックに近づいた。

「おじさん。」

声をかけたのはナツキだった。

「いつもここに車止めてるんですか?」

「ああ。配達に来ている間だけな。」

「10年前も?」

「かれこれ20年になるかな。何でそんな事聞くんだ?」

「俺たち10年前に行方不明になった子を探してるんです。」

「10年前?そういえば警察から色々聞かれたな。何だ、その子まだ見つかってないのか。」




< 87 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop