記憶の中で…
「その時、ここに止まってた白い軽トラックに乗ったまま、居なくなっちゃったんで…。」
ナツキの話を遮るようにおじさんは言った。
「おいおい、それが俺の車だってのか?止めてくれよ。あの時随分警察にも同じ事聞かれたけど知らねーよ。」
おじさんはいい加減にしてくれと言わんばかりに、運転席に乗り込んだ。
「その子、途中で車から下りたんだ!おじさんの帰る道教えてくれよ!!」
ナツキの必死な様子に、「こっから国道へ出て、北へ真っ直ぐだ。」それだけ言うと車は動き出した。
「国道へ出て…北へ真っ直ぐ…。」
「ナツキ?」
「帰るぞ。」
何かを思いついたように小走りに行くナツキを後ろから追いかけた。