記憶の中で…
帰るとすぐに地図を広げて、道を調べ始めた。
「あの公園から国道へ出るにはこの道を通って…。」
一人でブツブツ言いながら道を探す真剣な様子に、声がかけられなかった。
「ユキ、明日土曜日だろ。時間あるか?」
「うん。大丈夫だけど…。」
「じゃあ明日、この道自転車で行こう。何か分かるかもしれない。」
「……。」
ナツキは焦ってるように見えた。分からない事を早く知りたくてウズウズしてる。気持ちは分かる。分かるけど…。
「そんなに急がなくてもいいよ。それより体調の方が心配。退院して間もないのにそんな遠出しない方が…。」
「ユキ。」
私の言葉を止めたナツキの真剣な表情に、言葉を飲み込むしかなかった。