記憶の中で…
そうして目の前に信号が見えて来た。一台の車が赤で止まってる。
ナツキは急にスピードをあげて、その信号の所まで行った。
「うわ…ちょっとナツキ。待って…。」
先に到着したナツキはじっと信号を見ると、辺りをキョロキョロしだした。
やっと後から追い付いて、「もう。私の事、完全に忘れてるでしょ。」と言うと、「ここだ。」という返事。
「は?何が。」
「俺が車から下りたとこ。正確には落ちたんだ。」
え…落ちた?
「でも、その後の事は…。気がつくと病院のベッドで寝てた…あ、そうだ!病院!!病院を探そう。この近くの救急病院で脳外科のあるところ…。」
ケータイを取り出して調べ始めた。
少しずつあれこれと思い出すナツキに怖くなった。また、混乱してしまうんじゃないかと…不安になる。
そんなに急がないで。ゆっくりでいいよ。今はもうこれ以上思い出さないで。この続きはまた今度にしよう。
そう言おうと思った時だった。