記憶の中で…
ナツキの顔が明るくなった。
「ありがと、ユキ。」
「それから、その病院の診療時間は調べたの?先生のいる時に行かないとね。」
クスッと笑ってナツキを見つめた。
ナツキは私を抱き締めると、「やっぱり俺、ユキがいないと駄目だ。先走ってしまうからユキが止めて。」と言った。
帰り際、玄関を出たところでナツキとキスをした。もう触れるだけのキスじゃない。かといってそんなに深くする訳でもない。何度もついばむようなキスだった。
「じゃあ、帰るよ。」
「うん。気をつけてね。」
自転車に跨がって帰って行くナツキの後ろ姿を見送った。