ただ一人の魔法使い
『き、緊張するなー…』
〈…大丈夫?〉
私の頭から、手の平サイズの可愛らしい女の子が
私の顔を覗き込んだ。
『だ、大丈夫…』
〈…ホントに?〉
『…じゃない』
はぁ…と、
私の返事を聞いて呆れ気味なその女の子は、
〈緊張し過ぎ〉
と、私の頭を軽く叩いた。
『…無理だよ…』
緊張するなって言われて
緊張しない方が
絶対に無理だって!
そう思いながら、私の足は
ドンドン遅く、
重い物となって行く。
〈…速く進む!はい!〉
『う、うん…』
頭の上から女の子に言われるも、
私の体は石の様に、
ガチッゴチッと、中々進まない。
すると、また
〈はー…〉と、
解りやすい溜息を着いた女の子。