ただ一人の魔法使い
ユ「お姉ちゃん、速く!」
『…………』
ユラン君
私は
逃げないよ
『…フーちゃん…』
‘来て’
フーちゃんの心に話掛けた
〈…魅衣…ちゃん?〉
伝わったらしく、直ぐに駆け寄って来たフーちゃんに私は
『……フーちゃん、あのね…?』
小さく、耳打ちをした
〈……!でも…それって魔力が…〉
『私一人だけじゃ、ダメなのは判ってる…魔力の方も全然足りないし…体も、この状態だし……でも――――』
私とフーちゃんは
生まれた時から一緒
一緒に過ごした時間も
魔力特殊能力者の黒髪も
そして
…魔力の、大きさも
〈……あっ……〉
『…判った…?』
〈…うん〉
私とフーちゃんは意思が通じ合った様に
深く頷いた