ただ一人の魔法使い
『じゃあ…
《瞬間移動》』
〈うん〉
―シュッ
その瞬間、風を切る様な音がして、私達の姿は一瞬でその場から消え
―シュッ
再び、風を切る様な音がしたと思えば、数秒前に居た部屋とは違う
また、別のある部屋の前に移動していた。
〈能力だと、あっという間だね…〉
フーちゃんは、改めて
感心感心っ
…と言う感じで、頷いた。
〈…ボーっとしないで、速く入らないと〉
『あ…うん』
目の前の、普通より豪華で大きめの扉に手を近づけ、
少し力を入れて二回、ノックする。
すると中から、
「誰だ?」
と、聞き慣れた声が聞こえた。
だけど私は、その声に関係なく、ドアノブを回して部屋の中に足を踏み入れた。