ただ一人の魔法使い
一応、この部屋は…
校長室。
「お、来たか」
中からの返事を確認する前に入って来た私に、
校長先生が座る大きな椅子に座りながら、男の人が苦笑いをしながらコチラを見ているのを見て、
フーちゃんもまた苦笑いをした。
『弥一にぃ!』
「魅衣、元気そうだな」
弥一にぃ、と呼んだ男の人は
私のお兄ちゃんで
新川 弥一 24歳。
この若さにして、
この学校の校長を勤めている。
弥一にぃの髪の毛は、兄弟なのに私と全く似ていない。
鮮やかな青色
それは、目の色も同じだった。
「よぅ、フーリ!
相変わらず、チビだなっ」
〈…チビで悪かったな。クソ弥一が〉
「怖ぇよ…」
一気に、弥一にぃに鬼の豹変を見せたフーちゃんは、
私の頭の上から今にも弥一にぃに襲い掛かりそう。