ただ一人の魔法使い
『ちょ…フーちゃん…?』
〈ミイちゃん、クソ弥一が私の身長を馬鹿にした。クソ弥一、自分が身長170cmあるからって…〉
『…ま、まぁまぁ…』
弥一にいの時だけ…、
何時もこんな感じ。
フーちゃんと弥一にぃ。
昔は仲が良かったんだけなぁ…。
「…いい加減、俺の時だけ鬼になんのは止めろよ!不公平だろ!
喰らえ!水鉄砲 弱ッ」
―パンッパンッ
透明な何かが、弥一にぃの前に突き出された手から、乾いた音を経てて、私の頭上のフーちゃんに一直線に向かった。
その、何かって言うのは
―ビチョッ
水である。
〈…弥一ぃい…〉
見事にフーちゃんの顔に当たった水の塊を見た弥一にぃは、何だか得意げ。
フーちゃんの顔は、鬼以上に怖いものへと変わって行った。