ただ一人の魔法使い
「闇」の黒色と魔法特殊能力者の黒色は、似ているから結構間違えられる。
だけど、それが私にとって
好都合だったりするんだ。
理由は―――
「あ、あぶねぇ!」
『え……?』
―ビチョッ
私の制服に染み込む水。
腹部に、ひんやりと冷たい感覚があった。
多分、弥一にぃが放った水が、謝って私に当たったんだろう。
「〈あ……〉」
『……』
黙り込んだまま、制服を見つめる私に、弥一にぃとフーちゃんは青ざめた。
…今日、貰ったばっかりの
新しい制服なのに…。
『……
《闇球》』
私が闇球、と言って能力で出したのは、
ドッチボール並の大きさの
黒い球。
「ちょ…ッ落ち着け!」
〈…ヤバ〉
それを見た二人は、途端に焦り出した。