天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ
幸いこの辺りは流れもそれ程速くはない。

膝ほどの深さの辺りにまで入って、宜虎は棒立ちになる。

呼吸を整え、目を閉じ、気配を殺し。

「っ!」

手にした木刀を水流の中に振り下ろした瞬間!

「おお!」

芽々と小夜の立っている岸に、一尾の川魚が弾き出された。

宜虎が木刀の一撃で、水中の魚を叩き出したのだ。

掴み取りは勿論、釣る事さえ簡単な事ではないというのに。

「あんたどんだけ達人よ」

驚いた顔で宜虎を見る芽々。

「これで俺のアキレス腱は勘弁してもらえるかい?」

木刀を肩に担いだまま、宜虎はニッと笑みを浮かべた。

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