天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ
やがて太陽が沈み、辺りは静寂に包まれる。

「さ、やろーやろー♪」

きょうこが自分の鞄の中から取り出したのは、事前に買って来ておいた花火セットだった。

「おいおい、何だよその『お徳用花火セット』って。しかも二つも」

葉也が呆れた顔をする。

「いいじゃん、沢山あった方が楽しいよ」

満面の笑みで言うきょうこ。

小夜も珍しく目をキラキラさせている。

「んじゃ始めよう!まずはこのロケット花火かな?」

封を切ってライターで火を点けようとするきょうこ。

「待て待て、まずは安全の為にバケツに水を準備してだな…」

「あ、ごめん、もう火ぃ点けた」

「何っ!?」

「わ、どうしよどうしよ!」

「馬鹿きょうこ、ロケット花火持ったままウロウロすんな!」

「だって、だって!うわ、陽パス!」

「いやパスって!」

「きゃあああ、逃げろーっ!」

陽に火の点いた花火を押し付けたまま避難する他の五人。

「いやいやいやいや!」

うろたえてどうにも出来ないまま。

「あとぅうぅぅううぅいっ!」

陽の手元から夜空へ、ロケット花火が発射された。

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