天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ
やがて。

『あ…』

小夜の手元から、最後の線香花火の火球が地面に落ちる。

それまで周囲を照らしていた花火の光が消え、夜の静寂と闇だけが包み込む。

「……」

何だか言葉を紡ぐ事さえ憚られて、六人は無言のまま立っていた。

いつもはしゃいでいる元気なきょうこでさえ、何となく黙り込んでしまっている。

「終わっちまったなぁ…」

宜虎が呟く。

…静寂の中、虫の鳴き声だけが夜の暗闇の中で響いた。

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