天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ
葉也の言葉に、宜虎の眉がピクリと動く。

「わかってねぇな、おめぇさんにゃ山で飯盒飯食う漢(おとこ)の浪漫ってもんが理解できねぇのかい」

「わからないね。何だってこの暑いのに、鬱蒼と茂った山の中で炊事しなきゃならないんだい」

両者の対立は深まるばかり。

その光景を。

「アホらし」

椅子に跨って、水無瀬 陽(みなせ よう)は呆れた顔で見ていた。

「たかが夏休みに遊びにいく計画だろ?そんなに熱くなる必要ないじゃんか」

「おめぇもわかってねぇな、陽!」

宜虎が木刀の先端で陽を指す。

「たった一度しかねぇ高校1年の夏休みだぜ?後悔のねぇように満喫しなきゃあバチが当たらぁ」

(まぁ、そりゃあね)

陽は宜虎の言葉に内心同意するべき点もあった。

(地球の学生が例外なく恩恵に預かる夏季休暇…確かに興味深い)

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