天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ
「それになぁ…」

陽がチラリと一瞥したのは、きょうこの制服、その胸元。

「侘しい…」

「どういう意味よ!」

「ひどく物静かで寂しい、または貧しくて憐れな様。みすぼらしい様子」

「言葉の意味を訊いてんじゃないわよっ!」

ムキーッ!と癇癪を起こすきょうこ。

そんな彼女を相手にもせず、陽は溜息混じりに笑みを浮かべる。

「どうせなら2年の芽々先輩みたいな抜群のプロポーションの持ち主と、ビーチでバカンスと洒落込みたいもんだね」

陽が言っているのは、天神学園高等部2年生の神凪 芽々(かんなぎ めめ)の事。

身長170センチ、まるでモデルのようなスタイル。

誰もが憧れるようなプロポーションで、年上好きの下級生からはデートの誘いが殺到しているという。

まさに愛され体質。

陽でなくとも憧れるのは当然の存在だった。

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