天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ
宜虎を関節技から解放して、一行は再び歩く。

「小夜ちゃんはお爺さんからそういう関節技とか教えてもらったんでしょ?丹下君も空手か何かやってるっていうし、武道をやってる者同士で仲良くなれるんじゃない?」

『でも…何て話しかけたらいいかよくわからないし…口きいた事もないし…』

芽々の言葉に、小夜はそんな表情を浮かべる。

尤も小夜は龍太郎どころか、学園に入学以来誰も声を聞いた事がないという筋金入りの無口なのだが。

「いっそ決闘でも申し込んだらどうでぇ?」

宜虎がニヤニヤと意味ありげに笑う。

「そしたら愛しの丹下と寝技でくんずほぐれつ…」

ガシッ!

「あだだだだだっ!」

「片羽締めだぁ。そんな技、多分読者の殆どがわからないよ?」

小夜にまたも腕を捻り上げられて悶絶する宜虎を見ながら、芽々が言った。

どうやら小夜の前で龍太郎の悪口とシモネタは禁句のようだ。

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