蒼色に溺れた
溺れた人.

響嘉side.

大征四年
文明開化の灯と、まだこの国に残る闇と人が共存していた時代。

「先日また吸血鬼が現れたらしいですよ、響嘉(きょうか)様。」
「ああ、女学校でそのような話を言っている方がいたわ」
「…もう私……
恐ろしくて警察は吸血鬼を捕まえようとしても取り逃がすし…」

…最近このあたりで吸血鬼がでるようになった。
警察は捕まえようとするが、
取り逃がしたり…まったく役に立たない警察ね。

「響嘉様、那里子(なりこ)様がいらっしゃいました。」
「今、行くわ。」

那里子は私の親しい友達。
「では、行ってくるわ。」

「響嘉っ!聞いてまた吸血鬼が現れたんですって!!」
「那里子さん、もう知ってるわよ。」
「響嘉は情報が早いわ、もう…慌ててしまったじゃない。」
「うふふ、あ…。」
「どうしたの?」
「あそこの屋敷いつも門の扉が閉まっているのに
今日は門の扉が開いているわ。」
「あら…本当……不気味ね。」
「え?」                  
「だって、いつも門の扉が閉まっている《無人》の屋敷なのに
門の扉が開いているのよ?」
「た…確かに。」

無人……の屋敷。  行ってみたい。
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