蒼色に溺れた
響嘉は、涙を流しながら深い眠りについた。

“篝…忘れないで”
そう言ってるかのようだった。


「響嘉ああああっ」
「医者はまだかっ!」


俺も好きだった。
一日しか話したことがない響嘉に…恋をしたんだ。


あれから、数百年が経った。

久しぶりにあの屋敷があった場所に行くが…なにもない。




はじめにもっていたはずの名前は
永い間 誰にも呼ばれないでいたら忘れてしまった。

響嘉……

“篝…忘れないで”

忘れない
失くさない

呪いのように 永遠に。
< 8 / 9 >

この作品をシェア

pagetop