御曹司の溺愛エスコート
第2章

クリスタルの思い出

突然桜は自由の身になった。
自分から離れる蒼真に戸惑う。


「このまま進むわけにはいかないだろう?」

「兄さま……」

「いろいろな事が一度に起こり過ぎた。お前に考える時間をあげよう。私と一緒に日本へ行くか、あの部屋に戻るか」


あの部屋と聞いて、桜は盗まれてしまったクリスタルの置物を思い出した。
蒼真兄さまからの大切な宝物。


「あ……」

「どうした?」


そう聞いた蒼真だが、すでに桜の瞳からぽろぽろと涙が溢れ出した。


「桜?」


突然泣き出した桜に今度は蒼真が戸惑う。


「どうしたんだ、桜?」


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