御曹司の溺愛エスコート
「ああ。部屋に行った時に会ったおばあさんだ」

「リサだ、行かなきゃ」


桜は踵を返し、ドアに向かう。


「桜っ!」


蒼真はコートも着ないまま出て行こうとする桜の腕を掴んだ。


「落ち着くんだ」

「病院も知らないだろう? 私も行くから。コートを着てきなさい」


桜はベッドルームに戻り、上質なカシミアのコートに袖を通した。
とても暖かい。


桜がコートを着てベッドルームを出ると、蒼真もコートを羽織っていた。


「一緒に行くよ」

「蒼真兄さま……ありがとう……」

「礼は態度で示してくれた方がいいな」


一瞬戸惑った表情のあと桜は背伸びして、蒼真の差し出された頬に口づけした。




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