御曹司の溺愛エスコート

はじめて

車に乗り込むと、ハリーを恋人だと偽っていた桜は気まずかった。


「蒼真兄さま……ハリーのこと、ごめんなさい」

「ハリーが恋人じゃないと知って嬉しかったよ」

「……」

「私だけの桜だ」


蒼真は桜の肩を抱き寄せると、サラッとした髪に唇を寄せた。


ホテルに戻った桜は疲れた顔をしていた。


「少し休むといい」


桜はコートを脱いでいる。


「明日のフライトを予約しようと思うけどいいかい?」


ハンガーにコートをかけている後姿に声をかけると、頭がコクッと揺れた。
そして少し間があいたのち、桜は心を決めたように振り向いた。


「蒼真兄さま……私を日本へ連れて帰ってどうしたいの……?」

「どうしたいかって?」


何もわかっていないんだな……。
連れて帰って……なに不自由なく過ごさせたい。
そして妻にしたいと。


蒼真はゆっくりと桜に近づく。


「こうしたい……」


桜の腰をぐいっと引き寄せて唇を重ねる。


「!」


こうしたいことがキス……?



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