御曹司の溺愛エスコート
桜が逃げないように抱きしめて寝た翌日、午前出発のふたりは空港へ向かっていた。


初めてファーストクラスの席に座った桜は、広いシートに背筋を伸ばして座っていた。
シートにゆとりがありすぎて隣同士に座っていても離れている感覚だ。


小さな桜。
蒼真は抱き寄せたい衝動を抑えた。


窓側の席で桜は離陸を待っていた。


「寂しいのか?」


桜は瞳を潤ませ、コクッと頷く。


「近いうちに必ず連れてきてあげよう」

「ありがとう。蒼真兄さま」

「桜、もうその蒼真兄さまと言うのはやめないか?」

「え……? なんて……呼べば……」


ずっと蒼真兄さまと呼んでいた。
今さら変えるのは恥ずかしい……。



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