御曹司の溺愛エスコート

拒絶

蒼真の唇が桜の手の甲に触れた時――。


「ダメっ! それは出来ないっ! 嫌よ!」


桜は叫んでいた。
蒼真の手から手を引き抜く。


「なぜだ?」


桜の拒絶に蒼真の眉がきゅうっと寄る。


なぜ拒む?


「蒼真兄さまは婚約解消したばかりじゃないっ。それに、私達は結婚してはいけないのっ!」


桜の目からは涙が溢れだした。


「俺達が結婚してはいけない? その理由は?」

「私は……望くんを殺した……」


頭が痛い……。
がんがんと金づちで叩かれたように突然頭が痛み出す。


頭を抱え、ずるずるとその場に座り込んだ桜は今にも気を失いそうだった。


「あれは事故だ」

「助けられたのにっ!」




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