御曹司の溺愛エスコート
3年前、望が亡くなる時までふたりは恋人同士だった。26歳の蒼真。16才の桜。そして18歳の望。 

ふたりの年の離れた恋は、誰にも内緒だった。内緒だったのだが、望にふたりの関係がばれてしまった。


あの事故の日、桜を愛している望は彼女の身体を奪おうとした。


「……3年経ったと言うのに、君はあの頃と同じだ。いや……あの頃の方が大人びて見えた」

「話を聞いてくれないのなら出て行ってください」

「脈が速いな」


桜の手首はもう一度蒼真の手にそっと握られていた。


脈が速くなるのは当たり前だ。桜は今でも蒼真のことが好きなのだから。


この3年間どれだけ会いたかったか……。そして会う機会が出来た時には、大好きな人の婚約披露パーティー。伯母は私が蒼真兄さまを愛していることに気がついていた。意地悪されたって平気……蒼真兄さまを吹っ切るには良い機会だから……。


「手を離してください」


ブルーグレーの瞳が冷たく見えるように蒼真を睨む。


「桜。お前が帰ってこなければ良かった……」




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