御曹司の溺愛エスコート

妥協

リビングは桜の選んだ家具で暖かい感じに仕上がっていた。


「座って」


桜を座らせた蒼真はキッチンに入った。
対面式キッチンなので中の様子がわかる。


真琴が作った味噌汁を温め、蒼真は椀に注ぐ。


「蒼真兄さま、自分でやります」


桜はイスから立ち上がってキッチンにやってきた。


「いいから座っているんだ」


また蒼真兄さまにやってもらっている……。
それが心苦しい。


「桜?」

「自分でやるから。火傷でもしたら――」

「桜、言っただろう? 俺を軟弱な男として扱うなと」

「蒼真兄さま……」

「ほら、出来た。席に座るんだ」


仕方なく桜は何も持たずにキッチンを出た。


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