御曹司の溺愛エスコート

散歩

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屋敷内で働くメイドたちの足音が聞こえてきた。
今は朝の5時。


眠れなかった……。


これ以上、ベッドの中にいられなくて、ニットのアンサンブルとスカートに着替えた。


お散歩してこよう。シカゴに帰る前に懐かしい街を歩きたい。


1階に下りると、南条が新聞をきれいにアイロンをかけ折りたたんでいた。


「桜様。おはようございます。お早いでございますね?」


南条が優しい笑みを浮かべる。


「はい。時差ぼけみたいです」


桜の目が赤く少し腫れたまぶたを見ても、南条は何も言わなかった。


「少しお屋敷の周りをお散歩してきます」

「おひとりで大丈夫でございますか? 3年前よりこの近辺はマンションなどが建ち、変わっておりますよ?」

「少しぐらい様変わりしても大丈夫です」


心配する南条ににっこり笑い、ショルダーバッグを斜めにかけて出て行った。


秋月家の敷地は広い。
邸宅から少し離れた場所に住み込みのメイドの為に別の棟がある。


玄関を出て少し歩くと、大きな鉄門がある。その横の通用門を通り抜け、桜は辺りを見ながらゆっくり歩き始めた。



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