御曹司の溺愛エスコート
公園の中へ入り、桜はベンチに腰を下ろした。まだ朝早く、時折ジョギングをする人にしか会わない。


望くん……私には日本はつらすぎるよ……。私と蒼真兄さまの関係を知ってから変ってしまった望くん。激情にかられて私の身体を奪おうとして……。


「桜様」


その声に顔を上げると、目の前に懐かしい女性が立っていた。


「真琴さん……」


目の前に立っている背の高い女性は南条真琴(なんじょう まこと)。南条夫妻の娘で蒼真の秘書だ。


「お帰りが遅いので、父が心配しておりました」

「もうそんな時間……?」

桜は驚いて立ち上がった。


「桜様、大丈夫ですか?」


真琴は桜にとって姉のような存在だった。



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