御曹司の溺愛エスコート

帰宅

墓石の前で両手を合わせて両親に話しかける。
長い時間、桜はそこにいた。
寒くて仕方なかったが離れたくなかった。


私はどうすればいいの?


自分と蒼真の生活は幻なのだ。


すべては幻影、今だけの甘い夢……。


小さな石の上に座り、寒さをしのぐように両腕を身体に回す。


ぼんやり俯いていると、バッグの中から音楽が鳴った。


~~~~~♪


桜はその音に身体をビクッと震わせ、バッグの中から携帯を取り出す。
着信の名前は蒼真だ。


蒼真兄さま……。
そうだ……今朝ケンカしちゃったんだっけ……。


その事が引っかかって、なかなかボタンを押せない。
着信音がプツッと切れた。



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