御曹司の溺愛エスコート
12歳で両親を交通事故で亡くしてしまった桜は秋月家……母の実家に引き取られた。


蒼真と同じ年の真琴は、秋月家に引き取られ戸惑うばかりの桜の面倒を見てくれたりした。


「真琴さん、もう様はつけないで。桜って呼んで欲しいです」


昔から言いなれた言葉を急に直してと言われても無理がある。


真琴さんは桜に微笑んだだけだ。


「もう1時間以上経っていますから。父が迷子にでもなったのではと」

「ごめんなさい。心配かけちゃった……」


桜は出口に向かい歩き始めた。公園を出てゆっくり歩く。


桜様……まるでお屋敷に戻るのが嫌みたいに見える……無理もな
い……日本へ来たのだって驚いたくらいなのだから。


3年前の事故以来、秋月邸からは桜様の存在は消されてしまった。


なぜ桜様を嫌う秋月の奥様が日本へ呼んだのか……。


蒼真様と愛理さんの婚約披露パーティーに参加させ、桜に惨めな思いを味あわせたいのだと真琴は考えていた。



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