御曹司の溺愛エスコート
マンションに戻り寝室のドアを静かに開けると、桜が真っ赤な顔をして荒い息をして眠っていた。


「桜!」


スーツのジャケットを乱暴に脱ぎ、桜の額に手を置いた。
長い時間何も飲んでいないようで唇が乾いている。
冷たい蒼真の手に桜のまぶたが開いた。


「そ……」


意識が混濁しており、すぐに目を閉じてしまった。


まずいな……。


熱を測ると39.5度。
安易に考えた自分のせいだ。


「ゴホッ……ゴホ……」


苦しそうな咳。


「桜、すぐに楽になる」


蒼真は桜を毛布で包むと抱き上げた。


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