御曹司の溺愛エスコート
蒼真兄さまと呼ばれ、気分が害された気がした。


「蒼真と呼ぶんだ」

「え……?」

「桜、蒼真だ」

「無理です」

「ここでだけでも呼んでくれないか?」


柔らかく微笑まれた桜は恥ずかしそうに「そ……うま……」と小さく呟いた。


私は何にこだわっているんだ。


桜の戸惑った表情を見て罪悪感にとらわれる。


料理が運ばれてふたりは食べ始めた。


「桜、大学が嫌ならばなにか習い事をしてはどうだ?」

「習い事……」


美容室に働きに行くので時間がない。
かといって何もせずに家にいると思われても……と桜は考えた。


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