御曹司の溺愛エスコート
蒼真の運転する車の助手席に座った桜は嬉しそうに窓の外を見ていた。


「眠かったら眠っていればいい」


ちらっと桜を見て声をかける。


「ううん。そんなのもったいないから」


記憶が無い桜は周りの状況を記憶しようと一生懸命だ。
蒼真はそんな桜に無理強いする言葉は言わなかった。


お正月休みが終わった後で道路は比較的空いていた。


昔良く行ったレストランで食事をして、途中スーパーで２泊分の食材を買うと２１時を回った頃到着した。


外へ出た桜は辺りをぐるっと見渡した。


門灯はあったが、辺りに街灯一つ無い真っ暗な景色が怖くなって両手を身体にまわす。


「桜？」


蒼真がやってきた。
桜はほっとして蒼真に笑いかける。


そして玄関に明かりが見えると更に安堵した。


なんか……怖い……。


蒼真は玄関の鍵を開けた。
大きな別荘の部屋には明かりが灯されている。
リビングルームに入ると、暖炉が赤々と燃えている。
管理人が寒くないようにと、点けていてくれたのだ。

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