御曹司の溺愛エスコート
「敦だよ。桜ちゃん本当に記憶がないんだ……」

「敦さん? こんにちは。ごめんなさい。覚えていなくて……」

「いいんだ。もう身体は大丈夫なの?」


カシミアの白いコートを着た桜は元気そうに見えた。


「はい。もう大丈夫です」


何で身体の事を知っているんだろうと首をかしげた時、2人の前に女性が現れた。


「桜ちゃん、良かった」


洋子だった。


「ごめんなさい。貴方の事も分らなくて……」


ここはいや……。
私を知っている人がいる。
けど、私には分からない。


どう話していいか分らない桜は頭を下げて「失礼します」と言うと歩き始めた。


「桜ちゃん!」


敦が呼び止めようとした。


< 311 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop