御曹司の溺愛エスコート
「待って!」


女性の声に呼び止められ、桜の足が止まった。


「私は秋月 蒼真の妹 琴美です。母が会いたがっているわ。今から一緒に行かない?」


秋月琴美……。
蒼真の妹さん?


「あの……蒼真は?」

「兄は家で待っているわ」

「でも……今日は病院って……」


強引に誘う琴美を警戒する。


「貴方の記憶喪失も知っているわ。兄が教えてくれたから」

「蒼真が……?」

「そうよ。私達は仲のいい従妹同士よ。うちで食事をする事になったの」


蒼真の名前を出されて桜は琴美に対する警戒心を解いていた。


桜は琴美の車に乗った。
琴美は助手席に乗った無邪気なの顔をちらっと盗み見る。


疑いもなく座っている桜にいらいらするわ。


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