御曹司の溺愛エスコート
桜はマンションを出た。
呼んであったタクシーに乗り込み、成田空港へ向かう。
平日の高速道路は空いていて、どんどん空港に近づくタクシーの中で桜は気分が落ち込んでくるのがわかった。


私は間違った事をしようとしているの?
大事にしてくれる蒼真兄さまの元を離れようとしているのは間違いなの?


空港に到着しても桜の心はその事ばかり考えていた。
シカゴに行って幸せになれるの?


桜は出発ロビーのベンチに座る。
座って蒼真の事を考えると再び涙が出てきた。
膝の上で組んだ手にポタッと落ちて自分が泣いている事に気がつく。


慌ててバッグの中からハンカチを探したその時、指先に細長い物が触った。



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