御曹司の溺愛エスコート
蒼真から昔と変らないフレグランスの香りがした。


「ダメだ」

「離してください! 蒼真兄さま、止めて……」


抱きしめられていいはずがないのに……。


桜は蒼真の腕の中で抵抗を試みる。


トントン


蒼真は身体を離すと、桜の手首を掴んだままドアを開けに行った。
廊下にボーイが立っていた。


「ご案内いたします」


ボーイは部屋の中へ入り、桜のショルダーバッグを持ちエレベーターに向かった。


そうしている間も蒼真は桜の腕を離さなかった。



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