御曹司の溺愛エスコート
ソファに座った桜は蒼真と視線を合わせずにいた。
そんな桜を見て蒼真は小さく首を振り、何も言わずにその場を離れた。


蒼真の着替えも済み、少しして朝食が届けられた。


「桜。こちらへ来なさい」


桜は素直にダイニングテーブルに来て、蒼真の引くイスに座った。


「コーヒーと紅茶は?」


3年前までの桜の好みは紅茶だった。


「コーヒー、ブラックで」


ブラックなんて本当は嫌いだった。


「ブラック?」


意外な答えが戻ってきて、蒼真が聞き返す。


「ブラックが好きなの」

「好きかも知れないが病み上がりの身体には良くはないな。ミルクと砂糖を入れるべきだ」

「じゃあ、いらないです」


桜は素直になれなかった。


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